ジェントルマンのヨネです
トリプルバトルのパーティを作る際、猫枠、威嚇枠、S操作枠など定番の要素を押さえているかチェックするのがセオリーとされています
パメラさんの パーティを組むときに便利そうな画像 や、喰い断さんの やらない夫はプロのポケモントレーナーになるようです
、パデックさんの ゆっくりトリプルバトル解説 等みなさん目にされたことがあるんじゃないでしょうか?
パーティに盛り込みたい要素を入れていって、「S操作なくなった」とか「水の一貫やばい」とかなんとか言いながらポケモンを入れ替えていくのはパズルみたいで楽しいですけど・・・
いっそのこと全てのポケモンの組み合わせを網羅的に検証することで、あらゆる強い要素を含んだ6匹の組み合わせを探し出すことができないかと考えました
でもポケモンって721種類もいるから(過去を生きる)作れるパーティって200兆通りくらいあって人力ではとても・・・

オコマリカナ?
お前は!スーパーコンピューター並みの知能を持つポケモン、メタグロス!
という訳でスーパーコンピューター並みの知能の力を借りて欲しい要素を全部盛り込んだ究極の 器用貧乏 欲張りセットパーティを作ってみるのが今回の試みです
因みに予防線を張っておくとAIとか言いつつ流行りのLLMはおろかCNNも使ってない古典的な動的計画法の話をします
Q. それってAIなのか?
A. 何でもAIって言えば売れる時代なのでまあ・・・
(機械学習と数理最適を適材適所に使った結果、機械学習の出番がなかったんだということにさせてください1)
盛り込む要素

ゴ注文 オキマリカナ?
さて、一匹はメガ枠確定としてあとはどんな要素を盛り込みましょう?
まずはなんと言っても範囲攻撃ですかね
異なるタイプで3つ以上ある程度強力な範囲攻撃を入れたいです

メガシンカガ 1 テン
範囲攻撃ガ 3 テン
補足 強力な範囲攻撃
今回の記事は数字がたくさん出てくると疲れてしまう方のために全体的に説明を端折ってお送りしております
細かい補足も読んでみたい方はヤドンをクリックして進化させてみてください
さて、ある程度強力な火力というのは具体的にどう定義しましょうか?
明確な仮想敵は決まっていませんが、レディアンのエアカッターでは範囲攻撃とは言い難いです
ひとまず今回の実験では無振りメガガルーラをW補正込みで確定3発に捉える範囲攻撃としました
雑に押す削りとしては申し分ないでしょう
これは火力指数にするとちょうど25,000あたりになり、ちょうどフライゴンの特化地震くらいの火力になります(分からん)
バンギラスの特化雪崩よりちょっと強いくらいです(強そう)
因みにリザYの晴れ熱風は無補正無振りでも25,000に届きます
リザY強すぎてちょっと引きますね
続いて各種範囲攻撃の一貫が切れてることも条件としましょう
具体的には妖・飛・炎・水・氷・地・岩への耐性を押さえようと思います

範囲攻撃耐性ガ 7 テン
補足 範囲攻撃耐性
耐性面に関しても同様で、ハリーセンでフェアリーの一貫切れてると言い張るのは無理があるため耐久指数の考え方を使っています
先ほど基準値として置いた火力指数25,000の攻撃をW補正とタイプ補正込みで無振りでも4発以上耐えてくれれば耐性と言って差し支えないでしょう
タイプ補正込みで 25,000 * 0.44 * 2/3(W補正) * 4(発) のおおよそ 30,000 くらいの耐久指数に届くことを条件としました(無効タイプは耐久指数無限換算)
これは無振りクレセリアの特殊耐久よりちょっと硬いくらいです
クレセリア硬すぎてちょっと引きますね
因みにこの計算だとハピナスは全ての特殊範囲技に耐性があることになってしまいますが、冷静に考えてみるとハピナスを特殊範囲技で倒すのは不可能なので、ハピナスは、全ての特殊範囲技に、耐性があります
これらをベースに、トリプルバトルで強い技や特性を片っ端から突っ込んでいけばドキドキ欲張りセットの完成です
まずは定番の
- 猫騙し
- ワイドガード
- トリックルーム
欲張りセットなので
- ファストガード
- おいかぜ
も入れちゃいましょう
相手のワイガも剥がしたいので
- フェイントor横取り
壁も貼りたいので
- ひかりのかべ
- リフレクターorいかく

猫ワイガファスガトリル追イ風 各 1 テン
フェイント マタハ 横取リ ガ 1 テン
光ノ壁ガ 1 テン
リフレクター マタハ 威嚇 ガ 1 テン
特性没収技も欲しいですね
テクニカルでオタク心をくすぐります
- 特性没収(スキスワ/悩みのタネ/いえき/仲間づくり)
コ コ ロ ?
大事な要素を忘れてました
ダークホールです
ただし、まだ見ぬ並びを発見したいという目論見もあるのでドーブル固定では面白さ半減です
ちょっと条件を緩和して命中80以上の催眠技を含めようと思います
択勝負や交代抑止の圧としては十分…です、たぶん
- 催眠技

特性没収ト催眠ガ ソレゾレ 1 テン
ゴ注文ハ 以上カナ?
- とんぼがえりorボルトチェンジ
- この指とまれor怒りの粉
- はたき落とす

カシコマリマシタ
ゴ注文繰リ返シマス
- メガシンカ
- 範囲攻撃を異なるタイプで3つ
- 妖耐性
- 飛耐性
- 炎耐性
- 水耐性
- 氷耐性
- 地耐性
- 岩耐性
- 猫騙し
- ワイドガード
- ファストガード
- フェイントor横取り
- 追い風
- トリックルーム
- 光の壁
- リフレクターor威嚇
- 特性没収
- 催眠技
- とんぼがえりorボルトチェンジ
- この指とまれor怒りの粉
- はたき落とす

以上24テンデ オ間違エ無イカナ?
はいお願いします
あと可能な限り種族値は高くしてね

アトカラ言ウナヨナー
わくわく
探索

ソレデハ探索ヲ 開始シマス
ブーン・・・
チン!

デキマシタ
かがくのちからってすげー!
というのは嘘で200兆通りの全探索を手元のPCで実行すると爆発してしまいます

イツマデモ トモ ダチ
補足 組み合わせ爆発
200兆と書きましたが実際はポケモンは4つしか技を覚えないため、同じポケモンでも複数の型が存在します
4つの技のうち1つは攻撃技に割きたいため、有効な技を4つ以上覚えるポケモンの場合、
という風に、すぐに組み合わせ爆発を起こしてしまいます
※ 例外的にドーブルだけはフルサポートも認めることにしました(ニャオニクスはサイキネしてください)
因みにこのルールに従うとエルレイドは100個以上の型があることになります
エルレイドって100色あるんですね
カイリュー?カイリューは追い風光の壁型一択ですよ?なんのことやら
これも含めて本当にすべてのパターンを試すと約 1 垓(ガイ)通りに及び、計算が終わる前に地球が滅んでしまいます
地球の寿命はおよそあと 50 億年と言われています
大切にしましょう
因みに本当にスーパーコンピュータ並みの知能があれば多分これくらい楽勝なんだと思います
科学の力ってすごいですね
動的計画法で作るトリプルバトル構築
改めて問題を整理すると、パーティに含めたい要素の表に対して各ポケモンが満たす要素が決まっていて、これを6個集めて全部の要素を埋めようとしています
この問題は、通称ナップサック問題と呼ばれる問題の亜種に該当し、動的計画法という手法を使うと効率よく解くことができます
ド定番の問題なので興味を持った理系学生の読者はアルゴリズム論みたいな名前の講義を取ればおそらく丁寧に教えてもらえると思います
補足 動的計画法
仮に一匹目としてメガカメックスを採用してみましょう
すると残りのマスは16個になりました
※ 簡便のため範囲攻撃は1つでいいことにして説明します
そのため、5匹集めて16個の要素を満たしながら種族値を最大化するという小問題を解けばメガカメ軸の理想の6匹が決まります
同様にして、仮に二匹目としてドータクンを採用してみましょう
要素はさらに埋まり、残りの4匹で9個の要素を満たすという小問題に分解できました
だんだん絞り込まれてきましたね
これを進めていくと最後の一匹を決める頃には、「1匹でこの指と蜻蛉を両立するポケモン」という風に具体的な条件が絞り込めます
オオタチのことですね
改まって説明してますが皆さんもパーティ構築する際は脳内で同じようなことをやってるんじゃないでしょうか?
このように途中経過に応じて小問題に分解していく戦略を一般に動的計画法と言います
さて、ここからが面白いポイントなのですが、「トリル覚える猫」とか「蜻蛉と叩き落とす覚える浮いてる威嚇」とかは経験上すぐ頭に浮かぶじゃないですか?
ポケモンの組み合わせは 200 兆(技も考慮すると 1 垓)通りあっても、小問題の作り方は 100 万通りくらいしかないので、実は終盤は一度解いたことのある問題ばっかり聞かれることになります
スーパーコンピュータ並みの知能があれば、一度解いたことのある問題の答えは全て覚えているため、1匹で条件を満たすポケモンがいるかどうかはもちろん、「2匹で猫騙しとトリックルームと両壁と蜻蛉とフェイントを満たす最も種族値の高い組み合わせ」とか「4匹で全ての範囲攻撃の一貫を切る最も種族値の高い組み合わせ」とかも"経験上すぐ浮かぶ"事ができ、計算量を大幅に削減できることになります
羨ましい特技ですね
このように一度解いたことのある問題の答えを全て記録しておいて使い回す手法をメモ化と呼びます
このちょっとした工夫によって劇的に計算量が減り、手元のPCでも爆発せずに済むという訳です
というわけでなんやかんやあって
ブーン・・・
チン!

デキマシタ
補足 嫁ポケ採用するなら貪欲法
余談ですが、種族値の合計に拘らず、何でもいいから全部を満たす組み合わせを見つけたいだけなら、足りない要素を一番多く満たすポケモンから順に選んでいくのがてっとり早いです
具体的にはとりあえずヒートロトムかウォッシュロトム(時点でドータクン)を入れればかなりの要素が埋まり、
2匹目として残りの要素を大量に含むパラセクトとかウルガモスとかを入れれば大半の要素が埋まるため枠に余裕が出てくるといった具合です
最後に余った枠には嫁ポケでも入れておきましょう
よく冗談で、最後に嫁ポケが抜けて完成!なんて言いますがその逆バージョンですね
この手法を貪欲法と言います
嫁ポケを使いたいトレーナーは自分の貪欲さと向き合いましょう(?)
AIが導き出した全く隙のない最強のパーティ

イカガカナ?
おお??
見慣れないポケモンと見慣れたポケモンのブレンドだ
何より、具体的な並びは何も教えてないのにクレセ・ドラン・ランドが導き出されたことに感動しました
メガ枠カメックスに変えていい?

ダメデス
考えたことありませんでしたが複眼ビビヨンって面白い性能してますね
検索条件には入れてませんでしたが暴風で対格攻撃できるのも地味に仕事しそうです
因みに他にもこんな並びが出力されました
高種族値で両壁・トリル・スキスワ・蜻蛉・叩きできるユクシーも面白そうだなー
完成版
欲しい要素を突っ込んだだけで特定の並びへの対面を意識していないので残りの技枠と持ち物でカバーします
(そもそもトリプルバトルは要素を詰め込むゲームではない)

目的地周辺に着キマシタ 運転オ疲レ様デシタ
で、作ったのがこれ
戦略
対戦相手はAIではないので十中八九カメックスがメガ枠だと思うでしょう
私もメガ枠カメックスにしたいです

ダメデス
そこの誤認を突くためにカメックスにスカーフを巻きました
■ 対エルドラドー
エルレイド、カメックス、ビビヨン
フェイント、潮吹き、追い風
or 交代(ランド)、潮吹き、追い風
と押せばとりあえず形にはなると思います、たぶん
ドーブルもテラキオンもある程度Hに振られてると潮吹き圏外に行ってしまいますが反撃は気合でかわすしかないです
■ 対ガルニンフドー
エルレイド、カメックス、ビビヨン
インファイト、猫騙し(ドーブル)、眠り粉
or ワイガ、猫騙し(ドーブル)、眠り粉
と押せば同じくとりあえず試合にはなる・・・はずです
猫で拘ったカメが残るのがだいぶ苦しいですけどね
ニンフィアはビビヨンで寝かせてなんとかします
■ 他
クレセ、ランド、ビビヨン 他
ここで考えるのを諦めました
択の圧はともかく対応力はあって丸い選出だと思います
熱風潮吹き通る盤面作ってから後発に繋ぐ感じで頑張ります
実践
8/16開催のみなとみらいで雨滅びオフ4に参加して実践しました
オフレポ自体はまた改めて書きます(たぶん書きます、うん、きっと書きます)
使用感としては、高火力を通すタイプのパーティではないため何度も交代が発生するのと、私は優れたる操り人ではないため毎ターン長考が必要でめちゃくちゃ試合時間がかかりました
(私のせいでうちのブロックだけ予選消化が遅くて気まずかった)
で、いろいろ詰め込んだけど全部の技を使ったのかというと…
使いました!
ちゃんと全部使いどころあるんですねー
まあ、だからこそ試合が長引いたんですけど
特にビビヨンはカタログスペック通り地震をかわして着地できて盤面に影響ある選択肢を豊富に持っており、かなり柔軟に動けて今後も活躍の可能性を感じました
スカーフカメックスの使用感も悪くはなかったです
スカーフドーブルより速い猫潮吹きというのが安心感ありますね(スカーフに関してはもはやAI関係ないですけど)
勝率?
2勝5敗の惨敗でしたよ
なんで自分だけ診断トリプルやってるんだろうという気持ちになりました
改善点
身も蓋もないことを言ってしまうとトリプルバトルは要素を詰め込むことが目的のゲームではないのですが、このアプローチを追求するなら更に盛り込みたい要素も見えてきました
まず催眠対策が薄かったのは改善したいです
後手に回ってしまい辛かったです
スイーパー不足も感じました
範囲打点を通してもそれが相手を縛ることに繋がらずパスに近い手になってしまい、その間に相手のやりたいこと(味方殴りや誓いなど)を許す展開になりがち
特性没収や催眠など、起点は作れるのに積みポケモンがいないのも噛み合ってません
スキン特性を没収したのにそのままサブウェポンで押し切られてしまって悲しかったです
弱点保険という便利なアイテムがあるのでバージョン2を作るならやはりアイテムも考慮させたいですねー
展望
ところでつい先日、かすてぃらさんが非常に示唆に富んだ記事を公開されていました
令和トリプルオフの入賞構築を分析しよう【ORASトリプル】
オフ大会の入賞構築を分析し、強い構築に見られる傾向を探ってみたそうです
この分析から、例えば鋼タイプ不在の構築では代わりにモロバレル、ピッピを採用して勝てているということや、猫枠は高速な方が勝てるということなどが浮かびあがっています 実績のある並びを分析することで、欲張って全部の要素を詰め込む必要はなく(知ってた)むしろ共通項を拾っていくことで一個一個の要素に求められる要件を詳細化できそうだと思いました
かすてぃらさんの記事にも書かれてましたが、先入観なく、まだ注目されていないポケモンの強い使い方を発見できたら本望ですねー

ワタシモ ツカエ
今回の実験について思うことあったらぜひ感想聞かせてください
天候考慮してないとか、受けだしても遂行技無かったら耐性と言えないとか、いろいろ突っ込みどころあると思います
じゃあ天候特性と遂行技と持ち物と大会実績も考慮した最強の6匹ひねり出して
おまけ
デザートも欲しいな
フレガと癒しの波動とアンコールと滅びの歌も追加で!

ヘイオマチ

ちなみに機械学習と数理最適は二項対立ではなく、両者のいいとこ取りをして問題に適用するのが主流になってきているようです 機械学習と数理最適化の融合 ↩︎